今更ですが、先日サンフランシスコで開かれた Google I/O に参加してきました。

その中でも特に印象に残ったのが、Plaxo の Joseph Smarr 氏による OpenSocial, OpenID, and OAuth: Oh My! というセッション。僕が見たセッションの中ではダントツの 人気で、部屋に用意された椅子はもちろん、立ち見で人が溢れ返るほどの盛況ぶり。

内容は、ソーシャルウェブの未来について。現在は OpenSocial というソーシャルグラフ を所有するサービスに閉じた世界が中心となりつつありますが、少し未来のウェブは OpenSocial, OpenID, OAuth, PortableContacts 等の技術によって、よりグローバルな意味でのソーシャル化が図れるようになる、という ものです。

詳細は Google Code にビデオとスライドがアップされていま すので、ご覧 ください。かなり早口ですが、大変面白い内容です。

OpenSocial と FriendConnect の持つ意味 #

OpenSocial には v0.7 まで、JavaScript の API しか存在していませんでした。これは OpenSocial コンテナにとっては外部サービスからガジェットとしてアプリケーションを 追加してもらい、その OpenSocial コンテナが持つソーシャルグラフに閉じた形で利用さ れるものでした。アプリケーション開発者は OpenSocial の JavaScript API を使い、ガ ジェットが置かれているコンテナサイトの友達リストを取得し、そこでアプリケーション を動かすことができます。もちろん、ガジェットを自分のサービスドメイン上でホスティ ングすることも可能ですが、ガジェットはコンテナ上でしか動作せず、友達リストを外部 サービスとしてインポートしたりといったことも不可能で、実質的に囲い込みサービスし か生まれないものと言えたでしょう。

それが OpenSocial v0.8 + FriendConnect によって一気に世界を広げます。ユーザーは FriendConnect 対応サイトを利用するに当たり、OAuth を使って自分が利用したい SNS サービスを選ぶ権利が与えられています。同時に、そのサイト上での活動内容は連携を選 択した SNS サービスに戻されます。

ここでソーシャルサービスの要素を思い出してください。

  1. アイデンティティ
  2. ソーシャルグラフ(友達リスト)
  3. エントリの公開範囲の制御(プライバシー)
  4. フィード

FriendConnect はアイデンティティを OpenID で、ソーシャルグラフを OpenSocial v0.8 の RESTful API で、エントリの公開範囲の制御を OAuth で、フィードを Activity Stream で解決しようとしています。

これらの意味するところを深く見つめて行くと、未来のソーシャルウェブが自ずと見えてきます。

Joseph Smarr 氏(Plaxo)による未来のソーシャルウェブ論 #

FriendConnect のイメージをさらに深めるため、Joseph Smarr 氏が、Plaxo の FriendConnect 対応に際してアップしていたブログエントリをご紹介します。

Plaxo and FriendConnect are now Best Friends

Plaxo が 完全に FriendConnect と連携した。FriendConnect とは、あらゆるサイトをソー シャル化する、Google によるウィジェットベースのツールである。これにより、 FriendConnect に対応していれば、どんなサイトでも Plaxo アカウントに安全に接続し、 サイト上に自分の友達がいるかを確認したり、友達を招待したりといったことができる ようになる。何よりも素晴らしいのは、そのサイトでの活動内容を Pulse に流し込むこ とができるようになり、Plaxo での友達がウェブを跨いであなたと連絡を取り合うこと ができ、あなたが発見した新しいサイトを知ることができる点だ。

これは本当に便利でわくわくする連携機能だ — これはユーザーが自分のアイデンティ ティと関係をウェブ上のどこでも利用できるようにし、新しいサイトで知人を見つけ出 し、活動内容を既存の友達に共有し、よりソーシャルな発見と共有という徳の高いサイ クルを生み出す、シームレスソーシャルウェブエコシステ ム にさらに近付いたと言える。これこそソーシャルウェブの進むべき道だ — (現在あるほ とんどのサービスがそうだが)新しいソーシャルサイトを使い始める度に最初からやり 直さなければならないなんてとんでもない。あなたの新しい体験全てが、他の人をも魅 了すべきだ。

これはサービスがユーザーに自分の持つデータの制御を与え、オープンスタンダードを 使って安全なアクセス権を提供することによってのみ成り立つ。そしてこれこそまさ に、Plaxo が FriendConnect を使ってやりたかったことだ。Plaxo アカウントを接続 する際、我々は OAuth を使う。そのため、Plaxo のパスワード を渡す必要もないし、後で接続を断つことも可能だ。FriendConnect を使ってあなたが 活動内容を Pulse に共有する際は、OpenSocial 0.8 RESTful Activities API を利用する。オープンスタンダードではない連携はアドレス帳 API のみであり、我々 はこのスタンダードについても取り組みを開始してい る。我々はアイデンティティプロバイダとして、 ソーシャルグラフプロバイダとして、そしてコンテンツアグリゲータとしての役 割を果たしている と強く信じている — つまり、我々はユーザーが自身のデータと関係性をウェブ上のど こにでも持ち回り、どこからでも共有できるようにしている — これはユーザーにとっ ても、Plaxo にとっても、ウェブ全体にとっても有益なことだ。だが、まだこの取り組 みは始まったばかり — FriendConnect 対応サイトから活動内容を共有する際、家族や 友達、仕事関係など、共有相手をより細かい粒度で制御するなどの、更なる拡張を楽し みにしていて欲しい。

下のスクリーンショットは Plaxo と Google FriendConnect の連携したものだ — FriendConnect を利用しているサイ トでも体験してもらうことが できる。

画像は実際のペー ジをご覧下さい。

まとめ #

ガジェットコンテナとしての OpenSocial には正直、懐疑的な部分があったのですが、 FriendConnect の描く未来を想像し、またわくわくしています。今後もこの辺りの動向を 追って行きます。

追記 #

似たような話題に触れた記事を見つけたので追記し、トラバっておく。(失敗したので断念○| ̄|_)

グーグルが見たソーシャルネットワーキング–その 3 つの傾向:スペシャルレポート – CNET Japan