Plaxo の Joseph Smarr 氏が使う言葉に "Open Building Blocks for the Social Web" というものがあります。これはウェブをよりソー シャルにし、サービス相互の連携を深めていくために必要な"要素"を表しています。

この"要素"には OpenID, OAuth, microformats, OpenSocial と、いずれもこのブログで取り上げてきた これからのソーシャルウェブを占う重要な規格が挙げられていますが、そんな重要なピー スのひとつに、Portable Contacts が加えられまし た。

Joseph Smarr 氏の在籍する Plaxo にて、既に利用可能なAPI が公開されています。

Portable Contacts とは #

Portable Contacts, is an easy-to-implement "people data" API that provides secure access to both traditional address book data and to modern social application data (profiles and friends lists).

PortableContacts とは、従来のアドレス帳データと最近のソーシャルアプリケーショ ンデータ (プロフィールと友達リスト) のいずれにも、セキュアなアクセスを提供す る、簡単に実装可能な "People データ" の API です。

現時点の仕様の中身を見てみると:

  • ディスカバリの方法 (XRDS-Simple)
  • 認証 / 認可の方法 (OAuth, Basic 認証)
  • クエリパラメータ (ソート、フィルタ等)
  • 応答フォーマット (JSON, XML)
  • エラーコード
  • Contact のスキーマ

といった内容になっています。vCard や OpenSocial 等、既存の仕様から大きく外れない よう意識して設計されているとのこと。

Portable Contactsの使いどころ #

Portable Contacts はアドレス帳や友達リストを表すものですので、様々な分野で応用で きることが予想されます。

ソーシャルネットワークサービス間の友達リスト交換 #

既に MySpace の DataAvailability でサービスイメージが示されていま す が、MySpace の友達リストを Twitter にインポートする、なんてことが可能になりま す。

デスクトップアプリとのアドレス帳交換 #

例えば Mac OS X のアドレス帳アプリと Microsoft Outlook のアドレス帳を、ウェブ サービスを通じて同期するなんて事も、これまで以上に統一した規格の上で行う事ができ るようになります。

携帯電話とSNSのアドレス帳を同期 #

自分が利用している SNS の友達リストをそのまま携帯電話に乗せたり、その逆を行う事 ができるようになります。ここで Ripplex のようなサービ スが間に入ると、さらに面白いことができるようになるでしょう。

OpenSocialとの関係 #

あれ、じゃあ OpenSocial と Portable Contacts て同じじゃないの?と思った方もいる のではないでしょうか。そう、基本的に OpenSocial の People API と Portable Contacts の役割は同じです。似た仕様が複数存在する事はあまり好ましくないため、個 人的にも疑問に思っていました。

実は Joseph Smarr 氏の働きかけにより、Portable Contacts は OpenSocial v0.8.1 仕様で統合されました。言い換えると、OpenSocial の People API の仕様と Portable Contacts の仕様は同じです。

OpenSocial v0.8.1 の仕様はまもなく公開されると思いますが、内容は Portable Contacts に沿ったものになっていることが確認できます。

まとめ #

ソーシャルウェブエコシステム構築の動きは、Portable Contacts のようなピースが揃う 事でさらに加速してきています。今後もソーシャルウェブのメインプレイヤーたちの動向 から目が離せません。