DataPortability を実現する Data Availability や Facebook Connect、FriendConnect の技術が公表されて半年が経ちますが、ようやくこれらを実際に使ったサービスが登場し てきました。

これまでの Facebook や OpenSocial におけるガジェットや埋め込み型アプリケーション は、中心となるソーシャルネットワークに外部サービスが機能を提供する形でプラグイン するものばかりでした。Data Availability や Facebook Connect は逆に、RESTful API 等を活用して外部サービスにソーシャルネットワークをエキスポートします。今日は Citysearch というサービスで実現された Facebook Connect を例に、これからのソー シャルウェブの具体的なカタチを紹介したいと思います。

Citysearch が Facebook Connect にβ対応 #

僕の知る限り、これが初のまともな Facebook Connect 対応 / DataPortability 対応の サービスです。

Citysearchは、レストランやホテル等、実際に利用し た人がレビューを書いて共有するタイプのソーシャルネットワークです。

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よく見ると画面右上に "Sign In Using Facebook" の文字があります。

signinfacebook

早速クリックしてログインを試みます。

認証 #

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Lightbox 風のダイアログがポップアップして、Facebook アカウントを使ってサインイン しても良いかの確認が。

ここで重要なのは

  • Citysearch のロゴが入っている。つまり、Facebook と Citysearch の間には、自動化 されているにしろ、事前に何かしらのやりとりがあったことが伺える。
  • このダイアログは iframe です。僕の場合は既に Facebook にログイン状態だった ので確認しか表示されませんでしたが、ログインしていない場合は(フィッシング対策 として)別ウィンドウがポップアップして Facebook の ID とパスワードを求めるよう です。
  • 利用規約に同意する必要があります。地味ながら、日本での法的なハードルも今後課題 になるとは思われます。

サービス登録 #

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コネクトすると、未登録のためメンバー名を求められます。既存アカウントが無い人のた めに用意されているようです。ここでもいくつかポイントがあります。

  • Facebook の認証は独自方式ですが、これがオープン仕様ならOAuth/OpenID のコン ボ になると考えられます。つまり、Facebook の独自方式では認証と認可が同時に行われ ているようです。
  • この後分かりますが、できあがったアカウントには Facebook のプロフィール写真、名 前、友達リストが少なくともインポートされています。オープン仕様であれば OpenID で sreg を使ってニックネームとプロフィール写真を、OAuth で友達リストをインポー トすることになるのでしょうか。OAuth だけでもいいかもしれません。
  • “Merge your Facebook profile with an existing Citysearch account?”というリンク が用意されています。既存アカウントと OpenID をマージできるサービスが少ない事を 考えると、なかなか気が利いています。
  • ここでは Citysearch 自体の利用規約に同意させているようです。

コネクト完了 #

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ログインしてみると、画面右上に自分の Facebook プロフィールの写真が表示されています。

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マイページには自分の名前とプロフィール写真しか掲載されていません。他にエキスポー トされる情報があるかは未調査です。

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ここが最大のミソになる、友達リストです。残念ながら”None of your Facebook friends are Citysearch members”とあるように、両方に登録している Facebook friends しか友 達として表示されないようです。ここで未登録の友達も表示して、”Citysearch に招待す る”なんて機能があってもいい気がします。

フィードバックとなるアクティビティ #

さて、ここまで見てきたものはすべて Citysearch 上の画面でした。Facebook は自身が 持つデータを提供するばかりで、考えてみればいいことなど何ひとつないように見えま す。広告を貼る方法だって見つけられません。では、なぜ惜しげもなくソーシャルグラフ を提供するのでしょうか?

実は、Facebook Connect はアクティビティを Facebook にフィードバックする仕組みを 持っており、これによって Facebook はコネクトされたサービスのアグリゲータになれる からなのです。下記画像の「掲示板に記事を掲載」とあるのがこの部分です。OpenSocial で言えばアクティビティストリームがこれに当たります。

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実際の画面イメージを掲載したいところですが、Citysearch にレビューを書く勇気がな いので John McCrea 氏のサンプ ルにリンクしておきます。

Citysearch_Facebook

アクティビティのアグリゲータになることは、トラフィックを集める上で非常に重要な戦 略です。Facebook にさえ来れば、友達が関わる様々なサービス上の活動を一目で確認す ることができるのです。今まで知らなかったサービスも、友達を介して知ることができま す。さらに、集めたアクティビティにはこんな利用 法もあり、 様々なマネタイズの可能性も秘めていると言えます。

参考サイト #