ソーシャルメディアはインターネットの大動脈になる!4つの理由
by えーじ / Eiji Kitamura
Twitter が登場して数年。始めのうちは意味も分からず、ただ話題だというだけで使って いたのですが、今ではすっかり生活の一部になっています。自分でもちょっと中毒かも? と思う一方、同じように感じながら使っている人は少なくないのではないでしょうか?そ の勢いは留まることなく、日本での浸透率は上昇する一方。ネット業界人ではない友達で も、使い始める人がチラホラ出てきています。
大げさに聞こえるかもしれませんが、僕はこの Twitter を含めた、いわゆる「ソーシャ ルメディア」が、今後インターネットの大動脈になっていく、と考えています。今回はそ の理由について書いてみます。
※ 既に気付かれている方も多いとは思いますが、昨今言われている「ソーシャルメディ ア」は、言葉は同じでも、数年前のブログや Youtube といった一方通行のサービスを指 す言葉とは、明らかに異なっています。今でいう「ソーシャルメディア」は、まさに Twitter や Facebook のフィードを始めとする、双方向なマイクロブログを指していま す。今回のお話はそれを前提に書いていますので、ご注意ください。
検索からソーシャルメディアへ #
ソーシャルメディア以前のインターネット生活の中心は、間違いなく検索にありました。 「検索結果に出ないものはネットに存在しないのと同義」とまで言われ、SEO や SEM と いった手法や、関連する商売まで登場。新しいサービスやメディアを立ち上げるとあれ ば、広告を打つことと同時に、いかに検索の上位に載せるかで、一般ユーザーに見つけて もらえるかの分かれ目になっていました。それが最近、様相が変わってきたという統計が あります。
- Facebook directs more online users than Google
- Top 8 reasons why your business will need Social Media Optimization
このグラフはいくつかのサイトのトラフィック源を SNS と Google で比較したもので す。自社サイトのトラフィック流入がこうなってくると、さすがに SEO ばかりに気をと られている場合ではないことが分かると思います。
これまでは、無限に存在する情報の選別や整理をポータルサイトや検索が担ってきました が、これからはソーシャルメディアがそのシェアを広げていくのだ、と理解しても大げさ ではないでしょう。
ディベロッパーにとってのソーシャルメディア #
昨年 mixi アプリが公開されて以来、ソーシャルアプリケーションの注目度は高まる一 方。今はまさにゴールドラッシュと言えるでしょう。
ソーシャルアプリケーションが受けている理由はいくつかあると思いますが、何よりも重 要なのは、サードパーティーが魅力的なアプリを提供してくれること。そしてそれを支え るのがコンテナとなる SNS の持つソーシャル性です。魅力的なアプリを体験したユー ザーがそれを友達に教えて広げる、それを糧にディベロッパーがさらに魅力的なアプリを 提供する。このサイクルがあるからこそ、成り立っているのがソーシャルアプリの人気な のです。
そして、このソーシャルアプリのクチコミを支えるひとつの要素が、いわゆるアクティビ ティストリームと呼ばれるもの。mixi アプリでも「アプリ更新情報」として表示されて います。
実はこのアクティビティストリームも、ソーシャルメディアの一種です。僕はいずれ mixi でも、ボイスと混ぜて表示されるようになるのでは、と踏んでいますが、そうなれ ば、さらにユーザーに伝わりやすく、強い影響力を持つようになるでしょう。
Foursquare を思い出してください。Foursquare では、Twitter や Facebook と連携し、 タイムラインに更新情報を挿し込むことで、その価値を高めてきたことは、先日の記 事でも紹介した通りです。(言うまでもあり ませんが、Foursquare は SNS 内のアプリケーションではないとはいえ、ソーシャルグラ フやアクティビティストリームを活用しているという点で、ソーシャルアプリケーション の一種と言えます。)
このように、ソーシャルアプリにとって、ユーザーが普段見るタイムラインに入り込める ことは、それだけで広告効果があります。そこにさらに、ソーシャルなクチコミ効果が加 わるとなれば、ディベロッパーにとって、ソーシャルメディアが重要であることは、説明 するまでもないことでしょう。1 ヶ月で 100 万人集めるアプリが登場してきている一因 は、ソーシャルメディアにあると思って間違いありません。
マーケターにとってのソーシャルメディア #
ソーシャルメディマーケティングという言葉を聞いたことがある方は少なくないと思 います。まさに、ソーシャルメディアを使ってマーケティングしようというお話で、最近 マーケターの方たちの間では旬なトピックになっているようです。
専門外ではありますが、僕なりにソーシャルメディアマーケティングを定義すると「企業 等がソーシャルメディアに入り込み、ユーザーとコミュニケーションすることで行うマー ケティング」です。
ソーシャルメディアは情報の流通経路として、大変注目されています。これまでの検索を 利用した SEO、SEM といったマーケティング手法から、ソーシャルメディアを使ったマー ケティング手法に流行が移りつつあり、SMO(Social Media Optimization)、SMM(Social Media Marketing)という言葉もチラホラ聞こえるようになってきました。
ソーシャルメディアの持つ、先程説明したようなクチコミ伝搬力には、多くのマーケター が注目しています。この熱はしばらく続くでしょう。
参考ブログ
新しいテクノロジー #
さて、ここまで紹介してきた内容だけでも、十分ソーシャルメディアの将来性が高いこと は分かったかと思いますが、これだけでは Twitter や Facebook がすごいだけでは?と 思う方もいるかもしれません。なぜ、「Twitter や Facebook が大動脈になる」ではな く、「ソーシャルメディアが大動脈になる」なのか?それは、新たなテクノロジーが立 ち上がり、今後様々なソーシャルメディアがシームレスに繋がっていく未来がそこまで来 ているからです。
Social Media May Get Much More Convenient for Businesses
少しわかりづらいですが、この画面キャプチャはCliqset.comか らidenti.caの僕のアカウントに対して、いわゆる Mention をした 状態です。identi.ca のアカウントは、Cliqset.com のアカウントをフォローしていない のに、タイムラインに現れていることが分かるでしょうか?(実はフォローすることもで きます!)。
Cliqset.com は、いわゆる FriendFeed タイプのソーシャルメディアアグリゲータ。 identi.ca はstatus.netというオープンソースプロジェクトのデ モサイトで、Twitter クローンながら分散型の構成が可能なマイクロブログプラット フォームです。いずれもActivityStreamsや WebFinger、Salmon Protocol、 PubsubHubbubといった先進のソーシャル ウェブ技術をいちはやく実装することで、これを可能にしました。
もうここまでできるなら、Twitter や Facebook に縛られる理由はありませんよね?** ユーザーは、自分の好きなソーシャルメディアサービスを使っていれば、Twitter だろう と Facebook だろうと、自由にフォローし、相手がどのサービスを使っているか意識せ ず、コミュニケーションを行うことができるようになるのです。**
これはつまり今後ソーシャルメディアが、Twitter や Facebook 単体の人気向上に依存せ ず、発展していくことを意味しています。
まとめ #
SNS 運営事業者、ディベロッパー、マーケターからの支持に加え、特定サービスに偏らな い利便性が提供可能になりつつあるソーシャルメディア。時代の流れは確実にソーシャル に向かっています。人間がコンピュータのスクリーンからブラウザを起動し、どのように 欲しい情報にたどり着くか。そのための道筋が、ポータルサイトや検索から、ソーシャル メディアを中心としたものに変化しつつあることは、もう明らかではないでしょうか?
もしあなたがウェブサービスのディレクタだとしたら、どうやって集客しますか?もしあ なたが新製品のマーケターだとしたら、どうやって宣伝しますか?もちろん検索について 考える必要はなくなりませんが、今後はソーシャルメディアを使ったマーケティングにつ いても、決して侮ってはいけません。むしろ積極的に活用することで、これまででは考え られなかったレベルで集客することも可能になってきているのです。
お知らせ #
記事タイトルは若干釣り気味だった訳ですが・・・
このブログを読んでいるような人なら、Google Buzzに ついて知らない人はいないと思います。中には、もう全然見てない、なんて人もいるかも 知れませんが、今回の記事の記事や、先日 gihyo で公開したこちらの記 事でもご紹介した通り、Google Buzz の真の価値は、まだまだ発揮されていないのが現状です。
実は今回ご紹介した Cliqset.com や status.net で使われている技術は、Google Buzz の API 開発と共に進行している背景があります。公開されたメーリングリスト上で仕様 について意見交換される中で、先行して実装されたプロダクトが Cliqset.com や status.net なのです。
つまり、Google Buzz は現在進行しているインターネットのソーシャルウェブ化の代名 詞とも言えます。
そしてこの度、僕がこの Google Buzz の API Expert に就任したことをお知らせしま す。2 年ほど前から務めてきた OpenSocial のGoogle API Expertもしばらく留任には なりますが、長年夢見てきたソーシャルウェブの実現に少しでも寄与出来ることに、興奮 しています。
また、しばらく前からGoogle Buzz API Japanというコミュニティも 立ち上げていますので、技術者の方はぜひご参加ください。
日本で僕ほどのソーシャルウェブ馬鹿はなかなかいないと自負しております。今後とも宜 しくお願いいたします。
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